ハニーブーケ |
大河内さんの本を読もうとしたもともとの動機は、最近の地球科学の進展具合をやさしく知りたかったためであったのだが、書評サイトHONZ代表の成毛眞氏(元マイクロソフト日本社長)が本書の解説で、著者をサイエンスライターとして激賞しているように、科学的事実や方法だけではなく、そこに至る背景、個人としての科学者が事実を追求するために行う信じがたいほどの生真面目さだけではなく、他者との関係としての人間的エピソードなども挿入されていて、人間の営みとしての科学という側面でも面白い読み物となっている。
本書の内容については気が向いたら別ブログ(爺~じの本の要約)に纏めておこうかと思っているので省略するが、一言でいってみると、「気候変動の要因については、ここ半世紀ほどの研究によって格段に理解が進んできた。その主な動機は科学者達の探究心に加えて地球環境問題に対する懸念であり、理由は科学技術力と経済力の向上に基づいて可能となったデータの蓄積と高い解析能力にある。分かってきたことのなかで、特に重要なことは、気候変動に人類の活動が関与していることはもはや疑えないこと、気候変動に要する時間は数千年ではなく数十年で十分であったということ、であろう。」本書の記述ではないが、地球史的に見れば、気候変動が数多の生物絶滅をもたらしたことは化石に記録されている。
付記すると、『地球史が語る近未来の環境』(日本第四期学会、東大出版2007/6)という本があって、2007/6に読んだのだが、今でもこのテーマについて一般人が科学的事実を理解するためにはベストな本だと思っている。サイエンスライター的には書いてないので一般読み物としては取り憑きにくいが、一般人に向けて第四期学会の専門家の人たちが、当時の町田洋会長の下で分担して書いた本なので一読に値する(第四期学というのは、ここ200万年くらいを取り扱う、地球の現代史あるいは人類時代を研究する学問)。因みにこの本は、大河内さんの本書にも、より深く理解するためにと採り上げられている本の一冊に含まれていた。