パパメイアン |
資本論を構成する基本概念である「富」「商品」「使用価値」「交換価値」「労働」「労働力」「労働時間」「剰余価値」「資本の運動」などについての解説が簡便に為されて、大部であるこの名著全体の概略も紹介されている。ただ、資本論の「労働日」や「機械と大工業」などの章で示されている事例よりも、現代の身近な事例を引いて行われているので、読者にとってはわかりやすいとしても、人びとの生活・経済の悲惨な歴史的事実から読み解かれている「資本主義的矛盾」に対するマルクスの怒りの気持ちの方はあまり伝わって来ないが、それも仕方がないだろう。
参考になったのは、「MEGA」と呼ばれるマルクスに関する国際研究が進んでいて、その成果が公開されはじめている、という部分と、『資本論』第三巻の草稿からの次のような引用でした。<資本主義に代わる新たな社会において大切なのは、「アソシエート」した労働者が、人間と自然との物質代謝を合理的に、持続可能か形で制御することだ>。ここで著者によれば、アソシエートする、とは共通の目的のために自発的に結びつき、共同する、という意味だそうです。マルクスは、このアソシエートする条件についてはどう考えていたんだろうね。