自己紹介

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1946年9月、焦土と化した東京都内にて、食糧難と住宅難と就職難の中、運良く生き抜いた両親の新しき時代の一発目として生を受けるも、一年未満で感染症にて死にかける。生き延びたのは、ご近所に住む朝鮮人女性のもらい乳と父親がやっと手にした本の印税全部を叩いて進駐軍から手に入れたペニシリンのおかげであったらしい。ここまでは当然記憶にない。記憶になくても疑えないことである。 物心がついた頃には理系少年になっていた。それが何故なのか定かではないが、誤魔化しうるコトバより、誤魔化しえない数や図形に安堵を覚えたのかもしれない。言葉というものが、単なる記号ではなく、実は世界を分節し、意味と価値の認識それ自体をも可能にするものであることに気付きはじめたのは50歳を過ぎてからであった。 30年間程の企業勤めの後、現在は知の世界に遊ぶ自称哲学徒、通称孫が気になる普通の爺~じ。ブログには庭で育てている薔薇の写真も載せました。

2021年9月30日木曜日

9月30日 白井聡『戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ』

ピース
 著者の問題意識は、東西冷戦が終わって世界政治の構造が劇的に変化しているにもかかわらず、戦後の我が日本国においては、相変わらず奇妙な自主的対米従属関係を継続している理由は何だろうか?ということだろう。『永続敗戦論』(2013年、太田出版)で述べられているそうな、いつまでも敗戦を認められない人たちが現実を肯定するには、そうするほかはないということなのだろう。おまけに、その後小泉政権以降には、米国発の新自由主義の流れのなかで顕著になってきた再格差社会が、この日本社会においても益々それを不安定なものにしている状況が付け加わっている、と。ここで〈再〉と書いてあるのは、はじめのはご存じマルクスが怒っていた時代のこと。

浅草柴又の寅さん風の台詞がはいっている面白い記述があったので、その部分を以下に抜粋してみた。いろいろ書いてあったけど、結局本書の紹介には一番良さそうだったので。

・右傾化や劣化した反知性主義が広がるのと同時に、生活実感に裏打ちされた考え方・世界観を持っていたかっての庶民1は、小泉政治以降(いや、もっと前からかもしれませんが)庶民2に変質したわけです。

・彼等(庶民2)は、安倍首相が言う「世界で一番企業が活躍しやすい」場所が実在すると信じてしまうような庶民です、寅さんならば、「そんな場所あるわけねぇだろ。経済学者さんていうのはそういうのがあると仰るのかい。へぇー、よくわかんないねぇ。お前、さしずめインテリだな」といって済ませるはずです。私たちは、寅さんのような健全な常識に基づく考え方、ものの見方を失ってしまったのです。」