自己紹介

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1946年9月、焦土と化した東京都内にて、食糧難と住宅難と就職難の中、運良く生き抜いた両親の新しき時代の一発目として生を受けるも、一年未満で感染症にて死にかける。生き延びたのは、ご近所に住む朝鮮人女性のもらい乳と父親がやっと手にした本の印税全部を叩いて進駐軍から手に入れたペニシリンのおかげであったらしい。ここまでは当然記憶にない。記憶になくても疑えないことである。 物心がついた頃には理系少年になっていた。それが何故なのか定かではないが、誤魔化しうるコトバより、誤魔化しえない数や図形に安堵を覚えたのかもしれない。言葉というものが、単なる記号ではなく、実は世界を分節し、意味と価値の認識それ自体をも可能にするものであることに気付きはじめたのは50歳を過ぎてからであった。 30年間程の企業勤めの後、現在は知の世界に遊ぶ自称哲学徒、通称孫が気になる普通の爺~じ。ブログには庭で育てている薔薇の写真も載せました。

2023年2月20日月曜日

『浸食される 民主主義 上』(ラリー・ダイアモンド著 2019年)

 出版社は勁草書房、kindle版で通読した。

ヒヤシンス
 著者は1951年生まれのアメリカのスタンフォード大学の政治学の教授。本の題目から伺えるような事柄が、データに基づいて詳しく論じられている。

 言わんとしているところは、民主主義を浸食している大国はロシアと中国で、途上国で民主主義国として新たに参加してくる国の割合は減少傾向にあり、特にここ数年は逆に専制国家へと退行している国家、例えばハンガリー、トルコ等が増加している、という時代の流れに警鐘を鳴らすところ。この部分についての大まかなところは特に新しい情報ではない。

 詳しく論じられている個々の部分については、そのデータの出所についての知識が私にはないので、読み飛ばすほかはないが、一点面白かったところがあった。それは、トランプ元大統領に対する強烈な批判と、そのような人が、予想(著者を含めて恐らく沢山のデータ駆使して予想したであろうに)に反して大統領に選出されてしまった事実、及び自国に対する強烈な失望表明だった。ホントに驚きだよね、民主主義の危機はむしろアメリカに迫っているとは。





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