南紀白浜の夕日 |
この本からのほんの一部の抜粋だけを以下に掲載しておく。
「日本史研究会のご招待を頂き、とても感謝を感じています。私は奇妙なことに、日本史という分野でも仕事をしてきましたが、日本史における私の仕事は「日本史」という学問分野の成立そのものを問うこと、「日本史」という学問がなくても私たちは歴史家として、研究者としてやっていけるのではないか、という可能性を提出することにかかわってきたからです。」
「戦争が終わった後に生まれた日本人であったとしても、私は日本人としての戦争責任から逃れられません。自分が責任を問われてもおかしくない立場にあることは、恥の感情として私を襲うでしょう。恥は私が恣意的に左右できるような感情ではありません。それは、社会的客観性を告げ知らせる感情なのです。」
「戦争犯罪者を日本国民の中から、はっきりと、突き出すことです。日本人の内実を大きく変えていくためには、日本人を統合するするどころか、日本人の即自的な共同性に分裂を持ち込むことが必要なはずです。」
「十八世紀の啓蒙以来、歴史学と批判意識は密接な共存関係を持ってきました。われわれの知識や判断力に内在する限界を見きわめ、人間理性の為しうることと為しえないことをはっきり見きわめ、理性の越権を抑制することから批判意識は出発しました。啓蒙は、そのような批判意識を歴史学の中にも持ち込んだと思います。しかし、今日、批判意識はもはや、人間理性の限界を問うよりも、歴史実践的な批判に向かい、いかにして、われわれがわれわれ自身から逸脱し他者と横断的な関係を創り出すことが出来るか、という問題を巡って展開しているように思えるのです。」
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