芳純 |
宗教学者の島薗先生は「神聖天皇」というキーワードを置いて、そのことを説明し、さらに「神聖天皇」は現代の日本社会における一つの価値観として生き残り、現政権はその思想を中核に日本国を”復活”させようとしていると述べている。
私自身は、政教分離は人類史の智惠だし、文化・伝統を尊重することの大切さは、人間というものが一人で生きている存在ではないから明らかだ、と考えている。しかし、国家・社会は思想や信条が違った多様な価値観を持った人々が平和な日常のもとで共存することを第一義とするものでなければならないとも考えている。だから、人々がそれに向けて制度等々を工夫をし続ける他はなく、島薗先生の言われる「神聖天皇」を頂くような国家にはなってほしくない、と思う。
「神聖天皇」は祭・政・教一致であったが、現行憲法下にある現代において、天皇の存在どんな意味や価値を持っているのだろう?と言う問いがでてくることは至って自然なことだろう。現行憲法では「天皇」は「象徴」なのであって「政」には関わらないが、行っている「祭」はただの文化行事なのだろうか?沢山の国会議員が「教」(宗教)としての神道の理念の基づいた神道政治連盟に属すると言う事実の底流には、「ゆくえ」不明になった「神聖天皇」のイデオロギーが流れているのではないだろうか?未来の日本をどう構想するのかについてのヒントが沢山詰まっている。
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