百合 |
読むのに時間がかかると思っていた本が不思議なことにスーと読めてしまった。使った時間は電車の往復に要した二時間ほど。だから読み落としも読み違いもたくさんあるだろうが、この本は大体次のようなことを言っている。「社会は様々なグループに分かれているが、本質的な区別として階級があり、この階級間では争いが起こるものである。また、社会は歴史的に段階を追って発展するもので、先進地域である欧州の近代ブルジョワ革命は内包する矛盾(資本による人間疎外など)があるから崩壊し、その後にやってくるのはプロレタリア階級独裁国家である。」。
この本から見る限り、自由と民主主義は共産主義も目指すものだが、それを実施できるのはブルジョア階級が独裁するであろう資本主義ではなくプロレタリア階級が独裁する共産主義であると言っているようだ。当時の欧州に限らず現代においてさえこの本が指摘している矛盾は現実に満ち溢れ、矛盾から生じる危険はますます増大しているかに思える。しかし、大事なことは共産主義がその解決になるのかと言うことである。ソ連の崩壊は一つの結果を示して入るが、それが単純に資本主義の勝利であるから安心して思考を停止してもよいということには全くならない。逆に益々人間社会の本質を突き詰めて考えることが人間と言う「種」(少し表現が突飛だが)に求められていると感じた。
この本が予測した内容はさておいて(大体予測は当たらない)、その考察自体には学ぶべきところがあることを忘れてはならない。
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