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アクロポリス・ロマンチカ |
古来より、人々は世界の様々な物や現象が何であるかを問い、宗教や哲学はその答えを出す役割を担ってきた。そして神はその営みの中で、神秘的な森羅万象の大切な根源として重要な役割を担ってきた。しかし、全てを真実に基づいて説明しようとする近代科学の思想がもたらした世界観は、それまでの宗教(ここではキリスト教)思想が許容できないものであり、そこには「神」と「真実」を巡る解決し難い確執という問題があった。しかし、20世紀に入ってからの現代物理学はその問題を解いたのかもしれない、と述べてている。キーワードは「実在」。本書は、神と現代物理学はともに「超実在主義」という共通する思想において、ついに和解する時代がやってきそうだ、と主張している。
現代物理学とは、相対性理論(特殊&一般)と量子論を指しており、それらが何故「超実在主義」という思想に基づいている理由について説明がされている。その中で、わかりやすい事例としては、量子論による物質の説明がある。物質とは実在と認識されるものであるが、それは詰まるところ物質とは到底言えそうにない素粒子(量子)から出来ている。従って、物質とは何かという説明の根拠は「実在」にはなく「超実在」にあると言う他ない、と。その他、時間、空間、エネルギー、粒子と波動、場(電磁場とか)、情報伝達、エントロピー、等の概念とその根拠となる経験の一部にが触れられているが、そのれらの根本には「実在」が無かったことが科学的に分かってきた、というような言い方になっている。
しかし、私にとってはそもそも、「神」と「真実」を巡る解決し難い確執という問題は存在しないので、神と現代物理学はともに「超実在主義」という共通する思想において、ついに和解しそうかどうかにはあまり興味はなく、強く興味を引かれるのは、現代物理学が自然を理解するために辿り着いた驚くべき概念と、その概念が経験において生成してくる限りにおいて人間の共通認識となる(あえてつけ加えるなら科学というものの価値はそこにある)というということです。その点において本書から改めて示唆されたものは、相対性理論(特殊、一般)と量子論の概念形成プロセスを出来ればそれらの創設者達の著作から読み取る必要があると言うことでしたが、結構難しそう。読んだらまたこの読書日誌に書くことにしますね。最近話題の量子コンピュータは、その理由は不明でも桁違いの素晴らしい性能が予測されていてもう東大で試作しているそうで、楽しみですね。
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