1996年に書かれたこの本は少年・少女が哲学を好きになる良書だ。読んでいると著者が私に話しかけているように感じるほどわかりやすく言葉が投げかけられてくる。
特に印象的な部分を二箇所下記に抜粋してみた。
(1)現象学は、「向こう側に存在するだろう唯一絶対の真理」を求めることから、問いの方向を大きくじぶんのほうへと転換した。<唯一の真理・正義は何か>ではなく<なぜわたしにはこれが真実だと思えるのか><なぜわたしはこれをよくないと感じるのか>と問う。---それとともに、他人を問うてみる。<なぜあのひとはこれをよくないことだというのだろうか>。
(2)だれかが(恋人なり友人が)じぶんの存在を受け入れている、という感覚が得られてはじめて、人はじぶんの感受性を肯定できるようになるのだ。そして、感受性の肯定ができてはじめて、その人は自分の感受性を検証しながら自覚的に自分のモノサシを育てていくことができるようになる(じぶん一人でではなく、他人と育てあうと考える方がいい)。
尚、現象学という哲学を知ろうとして、「現象学」と書かれている哲学書とか解説書を読むと、普通はかえってわからなくなるから、急いで読む必要はない。西先生が本書で書いたことを、まずはナルホドと思えれば良いと思う。
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