竹田青嗣の冒頭発言は、この場においてはとても的を射ていた。しかもいつもと同じブレない言い方を基調に、一言で言えば、「今は文芸評論ではなく哲学にずーとはまっていって、文学とも離れたところにいる。社会を論じるには経済学など(他の社会科学)の勉強が不足しているので橋爪大三郎らと勉強会をしている。加藤典洋の『9条入門』については文学の視点から読んでみた。」というようなことであった。
出席者達の発言は、確かに文学者達の自由の感度に触れさせるものであったが、9条をテーマにして何かの合意を彼らから取り出すことは難しそうに思えたのは、個々の実存を主題として生きる彼らにとっては当然のことなのだろう。
ところで、このブログの表題の本についてだが、同時代を生きてきた同世代の人間として、著者が問題としてきたことに対して、私としては素直に共感できる部分が沢山あることに気づいた。現代世界の外部的な制限とそれに対する思考、例えば、ローマクラブの一連の研究(『成長の限界』など)、レイチェル・カーソン、シューマッハ、等々。更には、その問題をどのように受け止めてこの先どう乗り越えることが出来るかという思索の糧として、見田宗介の『現代社会の理論』で展開されている論理に共鳴しているところなどは、私の感覚と共振する。
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