ホワイトクリスマス |
著者は500年ほど前のイングランドの法律家で、大法官まで務めたが反逆罪でヘンリー8世に処刑されたとのことです。この本が著された頃の欧州は、人々が個人として目覚め始め、神の呪縛から解放されつつ社会や国家との関係において幸福の追求を意思し始めていまし
た。
ユートピアという言葉は「どこにも無い」という意味の著者による造語ですが、その内容は、人間の幸せを実現するための望ましい社会のことです。その社会を一言で言えば、善意と尊敬と勤労に基づいた公共社会で、そこでは私有財産は無く平等で、市民は精神の自由な活動による幸福を享受している、というものです。昨日のブログに書いた、同時代の『君主論』と併せて読んでみると面白いと思います。
ユートピアの具体的記述はもちろん現代とはマッチしませんが、そこで提出されている問いと解決法の原理は、現代においてもそこから汲み取るに値するような普遍性を持っていると思います。彼のヒューマニズム思想は、その後の近代思想に大きな影響を与え、現代人も知らず知らずにその影響を蒙っていることを思い起こさせます。
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