ヨハネ・パウロ2世 |
簡単に言えば、現代が直面している地球環境問題、あるいは資源・エネルギー問題、あるいは気候温暖化問題(より本質的には気候変動問題)の元凶は、資本主義に基づいた経済の仕組みにあるから、これを別の経済に、しかも短期間に移行させなければならず、この別の経済がどのようなものであるかをマルクスは資本論を土台にして「脱成長コミュニズム」として提示している、というものだ。この新時代のキーワードがいくつかあって、経済的には「脱成長」、社会的には「アソシエーション」や「コモン」、政治的には「コミュニズム」(これは古いイメージで捉えるとダメ)。マルクスが「脱成長」を唱えていたとはね。資本論は、資本主義が資源・労働・人間を収奪しながら経済成長を続けなければならないという本質をもつのでどんどん膨張していくが、やがて限度を迎え(資本は剰余価値を生み出せなくなる、という限度⇒「利潤率の傾向的低下法則」)滅びる、という経済理論を立てた。修正したり外部から収奪して滅びる時を延長しても原理は同じ。現代は「人新世」と呼ばれるような新たな地質学的時代区分相応しい時代(人間が出現してくる地質学的区分はわざわざ新生代第四期と名付けられているが、その第四期の最終段階を「人新世」と呼んで区分しようとしているらしい)を迎え、否応なしに、「脱成長」しないと滅びるから、はやりのエコ社会とか、SDGsとかやってる場合ではないと著者は言う。それらはマルクスに言わせれば「アヘン」だと。マルクスは資本論第一巻で本源的蓄積の前提に自然の収奪をおいてはいるが、それが資本主義生産体制崩壊の不可避の要因とはいっていない。現代がそこに来ていることを、実は資本論後にマルクスは予言していたと。
面白そうです。読んでみたくなりました。
返信削除kindle版の方が\110安いです。
削除私も読み、かなり共感しました~
返信削除半年ほど前に話題になっていたので在庫切れになるんではと、とりあえず買っておきました。お盆休みに頁をめくったところ、若い著者の熱意が伝わったのか一機に読み通しました。晩年のマルクスが脱成長に至ったとの理説には驚きと共感でした。
返信削除些末なことですが、「四つの未来の選択肢」の「気候ファシズム」、「気候毛沢東」、の命名はいかがなものか。前世紀前半のステレオタイプなタームで、最近の情勢を表すにはしっくりいかないように思えます。