多国語を操り、古今東西の文献を写筆しつつ漁読し、粘菌や植物などを各地で蒐集し、米英を放浪し、研究拠点にしていた大英博物館から追放され、英国の著名な自然雑誌ネイチャーに夥しい投稿が掲載され、帰国後は那智の野生に棲み、かろうじて人間自体からの逸脱を避けつつ七十数年存在し続けた。
自作の曼荼羅世界を考出し、民俗学では、バックグラウンドが対極にある柳田国男をして感嘆せしめるとともに必然的別離となり、生涯を在野で、大酒飲みでトラブルに事欠かずの人生を送った奇人。本人は地位も金も求めず、従ってそれらはなく、それらを持っている人が熊楠をこの世で生かし続けた。
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